春は、よろこびの季節のはずだが、書名にある三月とは1945年3月10日(東京大空襲)と、
2011年3月11日(東日本大震災)のことであった。
本書は、空襲で家族を失い戦争孤児となった著者の自伝エッセイである。
働きながら夜学に通い、教員となり、やがて作家となる。
そうして、戦争から平和の時代へと生きて来た。
これは、様々な問題をかかえた現代のこどもたちに贈る、生きる勇気のための本である。

第4回「児童ペン賞」発表                           2018.9.5

大賞    『たぬきのたまご』・内田麟太郎・銀の鈴社・2017−10

童話賞   『ブルちゃんは二十五ばんめの友だち』・最上一平・新日本出版社・2017-9

詩集賞   『漢字(かんじ)はうたう』・杉本深由起・あかね書房・2018-5

絵本賞   『クマと少年』・あべ弘士・ブロンズ新社・2018-5

企画賞   『なみきビブリオバトル・ストーリー』・ さ・え・ら書房・2017-6
       赤羽(あかはね)じゅんこ・松本聰美(さとみ)・おおぎやなぎ ちか・森川成美(しげみ)

少年小説賞 『四重奏(カルテット)デイズ』・横田明子・岩崎書店・2017-11  
少年小説賞 『こんとんじいちゃんの裏庭』・村上しいこ・小学館・2017-7   

たぬきのたまご、なんてあるものか。しかし、「おまえの母さん、でーべそ」と言われれば、怒る。
人も動物も母が恋しい、共に命ある生き物なのだ。
生きる切なさや、喜びや、笑いは、こどもたちへの共感にとどまらない。
戦争の愚かさ、という時代や歴史への批判にもつながる。時代を生き抜く強い思いと、ことばという武器で戦う、柔らかな表現力がある。
絵本などでも、すでに定評のある作家の詩集である。
ブルちゃんは、ヒキガエル。
せなかの感触が、ブルブル、やわらか。
クラスの名簿の最後(25番目)の友達になった。
生き物との触れ合いの中から、思いやりや寛容さを備えた、豊かな人間性が育っていく。
漢字一字を題名にした、18篇の詩集である。
季節や自然など、身の回りの根本的で大切なものに関わる深い意味のある言葉を、分かりやすく、ひもといていく。
うたうように、物語るように。
旭川動物園で働いていたという著者による、絵と文章ともどもの、知識と表現力のあふれる絵本である。
動物と正面から向き合う姿勢が、表紙画に象徴されている。
アイヌ民族の文化と心を受け継ぐ少年と、クマの物語であると同時に、自然と動物と人間の関係を記録し、伝える。
ビブリオバトル、って何?
なんの戦い? どんな競技?
これは、読書の衰退に対する、新しい試みである。
「読書感想文」にとどまらない、本の紹介の競技であり、
優れた本の紹介と、他の本の読者との心の交流にもつながる、実に新しい試みなのである。
小学校の高学年ともなると、将来の職業を考え始める。
夢にすぎないのか、現実に帰るのか。
将来のある子どもたちや、おとな=かつて子どもであった人たちが織りなす、音楽を例にした物語である。プロになるのか、でなくても、ほかの道がある。
子どもたちの現在と将来を見つめ、見守る、あたたかさがある。
人はだれでも、年をとる。力も思考も、やがて衰えていく。しかし、老人には経験と誇りがあったはずだ。
交通事故にあった認知症のおじいさんと、その孫であるちょっと反抗的な中学生が、事故への疑問を訴えて行動する物語である。
力になってくれる大人もいる。こんとん、という言葉は、多くの問題が入り乱れる現在の状況そのものである。
難しい課題に挑んだ、意欲的な作品である。
第4回児童ペン賞 贈呈式

2018年12月7日
中野サンプラザにて


* 賞の開設以来、最多のご参加をいただきました。
  ご遠方からの御出席も賜り、誠に有難うございました。

  (撮影: 重光 純)

2018年度「児童ペン新人賞」発表                           2018.7.25

童話部門・新人賞

いまむら みねこ「おばけのおなやみそうだんしつ」

せきね かずみ「ぽんこつ忍者」

童話部門・佳作

水沢せり「うちゅうじん おことわり」


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